menu前ページTOPページ次ページ
...藍
2006/06/12

日本の藍は 蓼科の一年草で、色素は葉に含まれるインジゴ系染料です。インジゴ系染料は 水に不溶性で、そのため アルカリの存在下で還元させる必要があります。一般にアルカリ剤として、木の灰で造る灰汁を用いる方法と、薬品を使用して作る二種類の方法があります。木灰汁を使用して醗酵還元させることにより染まる状態にする事を、醗酵建てといいます。醗酵建ては藍に含まれる還元菌の働きを待つために、時間がかかります。また、原料のすくもの量がある程度必要であり、その他に染液の温度変化やphの値にも気を使わなければならず、材料の確保と合わせて、非常に難しい染色方法です。
日本で、現在藍の染料を製造している藍屋さんは徳島県と北海道に六軒あるだけです。
徳島産の藍は、七月八月に収穫した藍を葉と茎に選別し葉を天日で乾燥させます。
九月乾燥させた葉藍を 寝床に800〜1000貫積み上げ適量の水を打って良く混ぜ合わせます。この事を「寝せ込み」といいます。
寝せ込み後、五日毎に水を打ち「切り替えし」の作業を22〜23回位(3,4ヶ月かけて)で藍染めの染料(すくも)にします。

私の工房では、徳島産のすくもを使用して、灰汁醗酵建てで染めています。藍の色素は水に溶けない青藍で、この青藍を醗酵という過程によって可溶化させ「化学薬品を一切つかわずに、灰汁、石灰、糖分(日本酒)、温度(ぬくもり)を加えて」染色できる状態にしています。
 灰汁醗酵建てとは、古来より伝えられる藍液藍の作りかたで、藍が持つ本来の色を引き出せると共に、生地を傷めず、体に優しい、また地球環境を考えた染色方法だと思います。
すくもに灰汁、石灰を加えてよく攪拌して、しばらくして日本酒を飲ませ慎重に醗酵の様子を見ること一週間から十日、液の表面に赤紫色の金張りが現れると、やっと染められる様になります。
人間の顔が一人ひとり違うように、甕の一つ一つに個性が有り色も匂いも世話の仕方も違います。毎日欠かさず調子を見て三〜六ヶ月、その息が絶えるまで気の休まる事が有りません。
〔灰汁 硬い木の灰に熱湯を加え攪拌し一日後上澄み液を取る。この作業を繰り返し1〜8番までの灰汁を作る。〕
染色方法
1  生地を水に浸す。
2  水切りをした生地を藍液に浸す。(約2〜3分)
3  生地を液から引き出し空気中で酸化させます。(酸素と結合して発色します。)
4  2,3を繰り返す事によって、淡色から濃い色に染め上げます。(淡色で5〜10回、濃色で10〜30回染める。)
模様をつける方法 「防染」
1 生地に下絵を描き、餅糊を置いていく。
2 糊が乾いてから生地を水に浸し、その後に水切りをして藍の液につける。
3 繰り返し染め、望みの色になった所で糊伏せる。(中間色を残す)
4 伏せ糊が乾いた後、再度染め重ねる。(濃い仕上げの色まで)
 
餅糊
 もち米、石灰、小紋糠、塩を使用してつくる。

〔藍は生きている〕
藍は生きている、よく言われる言葉ですが、それは藍に含まれる微生物の醗酵で染まる状態に(還元が起こることで青藍が白藍となって布に着く状態)になる事を言うのですが、この醗酵状態を保つには、働かせすぎても、休ませすぎても、暑すぎても、寒すぎても、アルカリの濃度が高すぎても、低すぎても、醗酵は起こらなくなります。藍の調子を見ることを “藍のご機嫌を取る” と言いますが、温度、アルカリ、栄養の安定した状態を保ってあげることがひつようです。藍のご機嫌を損ねることで一番怖いことは、アルカリの低下です。アルカリの安定を保つ為には、樫、椿、黒檀、などの木質の硬い木の灰が必要です。アルカリと栄養のバランスが取れたとき、藍は素晴らしい色を出してくれます。

一枚一枚手で糊を置き細心の注意をして、手染めしています。染めた後、糊おとし、水洗い、灰汁抜きをしていますが、時と共に生地の表面に灰汁が出てまいります。
藍染め布を、水に漬けて灰汁抜きをすると、冴えた色を取り戻す事が出来ます。時とともに変化する藍の色を楽しんで下さい。

この素晴らしい藍の色を作り出した自然と、すくもを作る藍師さん、灰を提供して下さる方、そして藍染め布を使ってくださる方々、多くの人々に感謝して・・・。

menu前ページTOPページ次ページ

- Topics Board -